令和6年能登半島地震により被災した障害者等に対する支給決定等について

事務連絡
令和6年1月4日

各 都道府県・指定都市・中核市 障害保健福祉・児童福祉主管部(局) 御中

厚生労働省社会・援護局障害保健福祉部
企画課自立支援振興室障害福祉課精神・障害保健課
こども家庭庁支援局
障害児支援課

令和6年能登半島地震により被災した障害者等に対する支給決定等について

この度の令和6年能登半島地震に伴う災害(以下「当該災害」という。)により被災した障害者又は障害児の保護者(以下「被災障害者等」という。)に対する支給決定等については、下記のような取扱いとなりますので、管内市町村、障害福祉サービス等事業者、指定自立支援医療機関等への周知をよろしくお願いいたします。

また、介護給付費等の取扱いについて、別添のとおり疑義解釈をまとめましたので、当該疑義解釈につきましても、管内市町村、障害福祉サービス等事業者等への周知をよろしくお願いいたします。

I. 障害福祉サービス等関係

1.他の市町村に避難した被災障害者等に対する支給決定について

(1)当該災害の被災により避難先の市町村の区域内に居住地を有するに至った被災障害者等に係る介護給付費等の支給決定については、避難先の市町村において、現行のとおり障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律(平成 17 年法律第 123 号。以下「障害者総合支援法」という。)第 19 条から第 22 条までの規定、児童福祉法(昭和 22 年法律第 164 号)第 21 条の5の5から第 21 条の5の7までの規定等に基づき行うものであること。補装具費の支給についても同様であること。

また、当該災害の被災により他の都道府県(指定都市及び児童相談所設置市を含む。以下同じ。)の区域内に居住地を有するに至った障害児の保護者に係る障害児入所給付費の支給決定についても、避難先の都道府県において、児童福祉法第 24 条の2及び第 24 条の3の規定等に基づき行うものであること。

(2)(1)の取扱いの際、被災市町村又は被災市町村が属する都道府県(以下「被災市町村等」という。)において現に支給決定を受けている被災障害者等に係る支給決定の内容、障害支援区分等については、避難先の市町村又は都道府県において当該被災市町村等に確認すること。

ただし、被災市町村等に確認できない場合は、受給者証等の確認、被災障害者等に対する聞き取りなどの結果等を勘案して支給決定を行われたい。

(3)一時的な避難の場合など居住地が依然として被災市町村等にあると認められる場合における支給決定については、当該被災市町村等が行うものであること。この場合において、市町村審査会を開催できない等の事情により、通常の支給決定の手続をとることができないときは、既存の資料を活用するとともに、被災障害者等に対する聞き取りなどの結果等を勘案して支給決定を行われたい(支給決定の変更をする場合も同様の取扱いとする。)。

(4)また、障害支援区分認定者の転出入の際の障害支援区分認定証明書の取扱 いについては、支給決定通知において示しているが、被災地から転出した障害支援区分認定者が転入先市町村に提出する障害支援区分認定証明書について、転出元市町村が当該証明書を発行することが困難な場合においては、転入先市町村は、改めて認定調査及び市町村審査会における審査判定手続きを経ることなく、被災障害者等からの聞き取りの結果等を勘案して、障害支援区分を認定しても差し支えない。

(5)被災障害者等につき緊急にサービスの提供が必要な場合については、市町村又は都道府県は、必要なサービスを速やかに提供するため障害者総合支援法第 30 条の規定による特例介護給付費等や児童福祉法第 21 条の5の4の規定による特例障害児通所給付費を支給することができることとされているので留意されたい。

なお、やむを得ない事由により介護給付費等又は障害児通所給付費及び障 害児入所給付費の支給を受けることが著しく困難であると認められる場合は、身体障害者福祉法(昭和 24 年法律第 283 号)第 18 条第1項若しくは第2項、知的障害者福祉法(昭和 35 年法律第 37 号)第 15 条の4若しくは第 16 条第1項第2号又は児童福祉法第 21 条の6若しくは第 27 条第1項第3号の規定による措置を採ることができることとされているので留意されたい。

2.受給者証等の提示について

当該災害の被災により受給者証又は通所受給者証若しくは入所受給者証(以下「受給者証等」という。)を紛失し又は家屋に置いたまま避難している等の事情があり受給者証等を提示することができない場合には、障害者総合支援法第 29 条第2項ただし書又は児童福祉法第 21 条の5の7第 10 項及び第 24 条の3第7項ただし書の規定により受給者証等を提示しなくても指定障害福祉サービス等又は指定通所支援及び指定入所支援を受けることができるものであること。
この場合、サービス事業者等においては、受給者証等を交付している被災市町村等に当該被災障害者等に係る支給決定の内容について確認されたい。

ただし、サービス事業者等において被災市町村等に確認することができない場合には、当該被災障害者等から、受給者証等の交付を受けている者であること、氏名、生年月日、居住地及び支給決定の内容を聞き取ることにより、指定障害福祉サービス等を提供することとして差し支えない。

なお、被災により受給者証等を紛失した被災障害者等に対しては、上記の取扱いについて周知するとともに、可能な限り速やかに再交付申請を行うよう勧奨されたい。

II. 自立支援医療関係

1.他の市町村等に避難した被災障害者等に対する支給認定について

(1)被災障害者が当該災害の被災により避難先の市町村等の区域内に居住地を有するに至った場合、育成医療及び更生医療については、避難先の市町村において、精神通院医療については、避難先の都道府県及び指定都市において、障害者総合支援法第 52 条から第 54 条までの規定等に基づき支給認定を行うこととする。

また、精神通院医療の申請書は居住地の市町村を経由することとしているが、この取扱いについても、避難先の市町村を経由すること。

なお、この場合、支給認定の申請の際に添付することとされている世帯の所得の状況等が確認できる資料等の書類については、実情に即した弾力的な対応として差し支えないものとする。

(2)一時的な避難の場合など居住地が依然として避難元の市町村(精神通院医療は都道府県及び指定都市と読み替える。以下同じ。)にあると認められる場合、当該避難元の市町村が支給認定を行うこととする。この場合において、通常の支給認定を行うことができないときは、既存の資料を活用するとともに、被災障害者等に対する聞き取りなどの結果等を勘案して支給認定を行われたい(支給認定の変更をする場合も同様の取扱いとする)。

(3)新規申請に係る有効期間の始期の取扱いについては、当該災害の影響により申請を行うことが相当期間困難であったと認められる場合に限り、市町村の判断により、申請日又は医師の意見書(診断書)作成日を有効期間の始期とする取扱いをしても差し支えない。

なお、更生医療については、身体障害者福祉法第4条に規定する身体障害者の要件があることから、有効期間の始期の取扱いに注意すること。

(4)被災障害者等に対する支給認定に当たっては、必要な自立支援医療が円滑に提供されるよう、関係市町村相互に十分連携の上、柔軟に対応されたい。

2.受給者証の提示等について

「令和6年能登半島地震にかかる災害の被災者に係る公費負担医療の取扱いについて」(令和6年1月1日付け厚生労働省健康・生活衛生局総務課ほか事務連絡)に基づき実施すること。

(参考:事務連絡抜粋)
自立支援医療受給者証を提示できない場合においても、医療機関において自立支援医療受給者証の交付を受けている者であることを申し出、氏名、生年月日及び住所を確認することにより、受診できるものとする。

また、緊急の場合は、受診する指定自立支援医療機関と自立支援医療受給者証に記載する指定自立支援医療機関の名称が異なる場合においても、事後的に支給認定の変更を行うことで差し支えないものとし、さらに、指定自立支援医療機関以外の医療機関でも受診できるものとする。


別添

令和6年能登半島地震による被災に伴う介護給付費等 (療養介護医療費、障害児通所給付費及び障害児入所給付費等を含む。)の取扱いについて

1.令和6年能登半島地震による被災に伴い、生活介護、短期入所、施設入所支援、自立訓練、就労移行支援、就労継続支援、共同生活援助、旧法身体障害者更生援護施設、旧法知的障害者援護施設、障害児通所支援及び障害児入所施設において定員を超過して被災障害者等を受け入れた場合、定員超過利用減算を適用しないことが可能か。

(答)
定員超過利用減算を適用しない取扱いが可能である。また、共同生活援助において、被災障害者等を受け入れたことにより大規模住居に該当することとなった場合についても、大規模住居減算を適用しない取扱いが可能である。

2.被災地に職員を派遣したことにより職員が一時的に不足し人員基準を満たすことができなくなる場合については、人員基準を満たさないことによる減算措置を適用しないことが可能か。

(答)
減算措置を適用しないことが可能である。なお、基準以上の人員配置をした場合に算定可能となる加算(人員配置体制加算等)や、有資格者等を配置した上で規定の行為を実施した場合に算定可能となる加算(福祉専門職員配置等加算等)についても、利用者の処遇に配慮した上で柔軟な対応を可能とする。また、世話人等の配置状況に応じて設定される共同生活援助等の基本報酬 についても、従前の(派遣前の配置人数に基づく)報酬の算定を可能とする。

3.避難所において居宅サービスを受けた場合、介護給付費等が算定できるのか。

(答)
「災害により被災した要援護障害者等への対応について」(令和6年1月1日付け厚生労働省社会・援護局障害保健福祉部企画課事務連絡)において連絡したとおり、避難所等で生活している者に対して居宅サービスを提供した場合、介護給付費等の算定が可能である。

4.被災等のために障害者支援施設、グループホーム等の入所者等が、一時的に別の障害者支援施設、グループホーム等に避難している場合、介護給付費等はどのような取扱いとすればよいのか。

(答)
被災等のため、別の施設等の定員を超過するなどして、入所等した場合は、避難先の施設等において介護給付費等を請求する取扱いとなる。

仮に、別の施設等に一時避難する場合であって、提供しているサービスを継続して提供できていると判断した場合においては、避難前の施設等において介護給付費等を請求し、その上で、避難先の施設等に対して、必要な費用を支払うなどの取扱いとされたい。

5.被災等のために障害者支援施設、共同生活援助等の入所者が、一時的に別の医療機関に避難している場合、介護給付費等はどのような取扱いとすればよいのか。

(答)
一時避難であれば、従前(避難前)の介護給付費等を従前の施設等が請求する取扱いとする。その上で、従前の施設等から避難先の医療機関に対して、介護給付費等を支払うなどの取扱いとされたい。

6.被災等のため、障害者支援施設、障害福祉サービス事業所等が全壊等により、施設等の介護職員等及び利用者が避難所等に避難し、介護職員等が避難所にいる利用者に対し、障害福祉サービスを提供した場合、従前どおり介護給付費等を請求できるか。

(答)
施設等において提供している障害福祉サービスを継続して提供できていると判断できれば、介護給付費等を請求することは可能である。
なお、施設等の入所者等の中には医療必要度の高い方もいることが想定されるため、できるだけ、適切なサービスを提供できるよう受入れ先等の確保に努めていただきたい。

7.障害福祉サービス事業所等が全半壊し、これに代替する仮設の建物等を利用してサービスの提供を行う場合、当該サービス提供にかかる費用を介護給付費等として請求することは可能か。

(答)
障害福祉サービス事業所等の建物が全半壊等し、これに代替する仮設の建物等(以下「仮設障害福祉サービス事業所等」という。)においてサービスを提供する場合、当該仮設障害福祉サービス事業所等において提供するサービスと、これまで提供していたサービスとの間に継続性が認められる場合、介護給付費等として請求することが可能である。

8.職員が、被災地で健康相談等のボランティアを行った場合により出勤できなかったケースについて、人員基準を満たさないことによる減算措置を適用しないことが可能か。

(答)
減算措置を適用しない取扱いが可能である。なお、日中活動サービス事業所の看護職員については、不在の場合であっても、他の医療機関や事業所等の看護職員と緊密な連携を図る等の対応を図るよう努めること。

9.居宅介護等の特定事業所加算の算定要件である、定期的な会議の開催等やサービス提供前の文書等による指示・サービス提供後の報告について、被災地等においては困難を生じる場合があるが、取扱い如何。

(答)
今般の被災等により、やむを得ず当該要件を満たせなかった場合についても、当該加算の算定は可能とする。

10.令和6年能登半島地震による被災により、サービス提供量が増加した場合等の特定事業所加算に関する割合の計算方法及び居宅介護等のサービス提供責任者の配置基準の取扱い如何。

(答)
今般の被災等の影響により、介護職員等の増員や新規入所者の受入れ、サービス提供回数の増加等を行った事業所については、特定事業所加算を有資格者割合や重度障害者等の割合の計算及び配置すべきサービス提供責任者の員数の計算の際、当該職員及び利用者数等を除外して算出する取扱いを可能とする。

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