教育・保育施設等におけるプール活動・水遊びの事故防止及び熱中症事故の防止について

教育・保育施設等における重大事故の防止について、日頃から御尽力いただき厚く御礼申し上げます。

夏季においては、プール活動・水遊びの機会が増加する時期であり、水に関する重大事故の発生が懸念されます。

各教育・保育施設等(以下「各施設等」という。)における事故防止については、平成28年3月31日に発出した「教育・保育施設等における事故防止及び事故発生時の対応のためのガイドライン」(以下「ガイドライン」という。)において示しておりますが、プール活動・水遊びの開始時期に合わせて、ガイドライン(施設・事業者向け)中の注意すべきポイント等の記載事項を改めて確認し、事故防止対策を徹底していく必要があります。

また、これからは気温の高い日が続くと予想されることから、熱中症事故の発生も懸念されますので、送迎用バスへの置き去り事案をはじめとした熱中症による重大事故の防止についても、対策を講じていくことが重要です。

以上のことから、各地方公共団体等におかれましては、下記のとおりプール活動・水遊びの事故防止及び熱中症事故を防止するために必要な対策について、改めて各施設等に周知していただくとともに、各施設等において必要な取組が確実に実施されるよう、適切に指導いただくようお願いします。

1.プール活動・水遊びの事故防止

(1)監視体制の確保

プール活動・水遊びを行う場合は、監視体制の空白が生じないように専ら監視を行う者とプール指導等を行う者を分けて配置し、また、その役割分担を明確にすること。

(2)職員への事前教育

事故を未然に防止するため、プール活動に関わる職員に対して、こどものプール活動・水遊びの監視を行う際に見落としがちなリスクや注意すべきポイントについて事前教育を十分に行うこと。

「プール活動・水遊びの際に注意すべきポイント」※ガイドライン2ページ

  • 監視者は監視に専念する。
  • 監視エリア全域をくまなく監視する。
  • 動かないこどもや不自然な動きをしているこどもを見つける。〇 規則的に目線を動かしながら監視する。
  • 十分な監視体制の確保ができない場合については、プール活動の中止も選択肢とする。
  • 時間的余裕をもってプール活動を行う。 等

(3)緊急事態の対応等

施設・事業者は、職員等に対し、心肺蘇生法を始めとした応急手当等及び119 番通報を含めた緊急事態への対応について教育の場を設け、緊急時の体制を整理し共有しておくとともに、緊急時にこれらの知識や技術を活用することができるように日常において実践的な訓練を行うこと。

2.熱中症事故の防止

(1)環境の整備等

熱中症事故は、命に係わる危険があるが、適切な環境の整備等を行うことで予防が可能であるため、以下のような点に留意すること。

  • 活動前に適切な水分補給を行うとともに、必要に応じて水分や塩分の補給ができる環境を整えること。
  • 活動中や活動終了後に水分や塩分の補給を行うこと。
  • 熱中症の疑いのある症状が見られた場合には、早期に水分・塩分補給、体温の冷却、病院への搬送等適切な処置を行うこと。
  • こどもが送迎用バスに置き去りにされた場合、命の危険に関わる熱中症 事故のリスクが極めて高いことから、関係府省令等の改正により、「送迎用バスへの乗降車の際に点呼等の方法でこどもの所在を確認すること」、「送迎用バスへの安全装置の装備及び当該装置を用いてこどもの降車の際に所在を確認すること」が義務化されたため、この趣旨を踏まえ、こどもの所在確認を徹底し、置き去り事故を防止すること。
  • その際、ヒューマンエラーの防止を補完するものとして、国において令和 4年度第2次補正予算において送迎用バスへの安全装置の導入支援を実施しているところであり、可能な限り6月末までに安全装置の装備を完了すること。
  • 併せて、安全装置の装備がなされるまでの間についても、置き去り事故の防止を徹底する観点から、運転席に確認を促すチェックシートを備え付けるとともに、車体後方にこどもの所在確認を行ったことを記録する書面を備えるなど、こどもが降車した後に運転手等が車内の確認を怠ることのないよう万全を期すこと。

(2)各種活動実施に関する判断

熱中症事故の防止のためには、暑熱環境において各種活動を中止することを想定し、その判断基準と判断者を、各施設等における危機管理マニュアルなどにおいて予め具体的に定め、職員間で共通認識としておくことが有効であり、熱中症の危険性を判断する基準としては、暑さ指数(WBGT(湿球黒球温度):Wet Bulb Globe Temperature)を用いることが考えられる。暑さ指数については、環境省の「熱中症予防情報サイト」で地域ごとの実 況値・予測値を確認できるほか、環境省・気象庁による熱中症警戒アラート

(熱中症の危険性が極めて高くなると予測される際(暑さ指数が 33 を超える場合)に、国民に対し危険な暑さへの注意を呼びかけ、熱中症予防行動をとっていただくよう促すための情報。)も確認することができるので、各種活動の実施に関する判断材料とすること。

(3)こどもに対する声掛け

熱中症事故の防止に関して、こどもが自ら体調を意識し、必要な時には人に伝えられるようになるよう、以下のような事項を発達段階等に応じて適切に促すこと。

  • 暑い日には帽子を着用すること、薄着になること。
  • 身体を動かして遊んだり、施設の外に出掛けたりする時は、こまめに水分を補給し休憩をとること。
  • 体調がいつもと違うと感じた時には、すぐに職員に伝えること。

3.参考事項

プール活動・水遊びの事故防止及び熱中症事故の防止について、参考となる資料を以下のとおり示しているので、施設等の実状に応じた資料を活用して、事故防止に努めること。

【参考資料】

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